製品 / UHP 毛細管

UHP 極細ステンレス毛細管

内径0.2〜1.0mm、SUS316L(VIM+VAR 二重真空溶解材)の極細ステンレス毛細管。内面を化学研磨で仕上げた完成品として、本数単位で販売します。半導体設備・分析機器・医療検査機器の微少流路向けです。

UHP 極細ステンレス毛細管(内径0.2〜1.0mm・内面化学研磨済み)

「平滑さ」だけでは、語れない内面品質

表面粗さ(Ra)は、機械研磨でも一定の値まで到達できます。しかし流量計・センサー・半導体流路において、部品の寿命と清浄性を左右するのは、Raの絶対値ではなく、表面の「化学的な状態」── Cr/Fe比、不動態皮膜、残留応力・汚染の有無です。当社の化学研磨は、内面を平滑にすると同時に、この化学的な品質を作り込みます。

Raだけでは測れない内面品質 ── 第三者機関による測定データ →

化学研磨で得られる内面品質

Cr/Fe比の向上・耐食性

表面のCr/Fe比を高め、Cr濃縮不動態皮膜の形成を促進。表面の化学組成を変えない機械研磨では得られない効果です。

残留応力・汚染の除去

機械加工で生じる加工変質層・残留応力を除去。埋め込まれた粒子・油脂などの汚染を溶解除去し、内面を化学的にクリーンにします。

無バリ・平滑な鏡面

バリを根元から優先的に溶解し、二次バリを残しません。内面は平滑な鏡面に仕上がり、流体抵抗・粒子発生を抑えます(Ra 0.17µm・実測)。

内径の500倍の長さまで、内面を均一に

φ0.2mmの内径に対して、長さ100mm ── 内径の500倍という縦横比を持つ管の内面全域に、薬液を均一に作用させることが、従来の浸漬処理では困難とされてきた点です。内径が細くなるほど、管内の薬液の入れ替わりと反応の均一性を保つことは難しくなります。

この条件を量産で再現するための設備は、市販されていません。当社が専用の加工装置を独自に開発した理由が、ここにあります。

実測データ

化学研磨前後の内面粗さ比較(内径0.2mm・レーザー顕微鏡測定)。

化学研磨前後の内面粗さ比較(内径0.2mm・レーザー顕微鏡測定)
測定方法レーザー顕微鏡による測定
評価長さ46.29µm(研磨後)
測定値(研磨後)Ra 0.17µm / Rz 0.57µm / RzJIS 0.45µm
測定値(研磨前)Ra 0.45µm / Rz 2.34µm / RzJIS 1.18µm
測定条件内径0.2mm・SUS316L サンプル2本にて測定

Cr/Fe比・表面化学分析について

当社の化学研磨は、表面のCr/Fe比を高め、耐食性を向上させることが可能です。ただし、その効果は薬液・プロセス・母材品質に依存します。当社の化学研磨プロセスは、SEMI規格に準拠した米国 RJ LEE Group 等の第三者機関による測定実績があります(※別製品・別材料での参考データ)。本毛細管製品についても、今後 RJ LEE Group 等での測定を予定しています。

Cr/Fe比 深さ方向分析(第三者機関測定・別材料参考データ)

※ 上図は別材料での測定例です。Cr/Fe比の到達値は母材品質にも依存します。詳しくは「品質数値と母材について」の項をご覧ください。

全11工程の一貫プロセス

BA管・MP管を素材とし、洗浄から化学研磨・不動態化・多段洗浄・窒素乾燥まで、全11工程を一貫して管理します。用途に応じて、普通UHP級/超級UHP級の仕上げに対応します。

UHP毛細管 全11工程の一貫プロセスフロー

01

毛細管セット

02

超音波脱脂洗浄

03

水洗

04

化学研磨

05

水洗

06

不動態処理

07

温水洗浄

08

超音波洗浄

09

超純水洗浄

10

窒素乾燥

11

梱包・出荷

緑色の工程(化学研磨・超音波洗浄)が、内面品質を決定づける中核工程です。仕上げグレードに応じて、普通UHP級/超級UHP級に対応します。

※ 各工程の詳細な条件は、当社ノウハウのため非公開とさせていただきます。

仕様

材質SUS316L(VIM+VAR 二重真空溶解材)
内径φ0.2mm 〜 φ1.0mm(最小 φ0.2mm から対応)
代表仕様φ0.4 × φ0.2 × 100mm
長さφ0.2mmの場合、1本あたり最長100mm(内径の500倍)。定尺での供給となり、切断はお客様側でのご対応をお願いしています
内面粗さRa 0.17µm(実測)
供給単位本数単位・ロット供給(円/本)
表面化学分析第三者機関(RJ LEE Group・SEMI規格準拠)による

品質数値と母材について(重要)

表面化学品質(Cr/Fe比・不動態皮膜)の最終数値は、母材品質と化学研磨プロセスの両方に依存します。化学研磨は表面状態を大きく改善しますが、母材が持つ上限を超えることはできません。

自社供給材による製品:仕様数値をお約束します。
お客様支給材の受託加工:プロセスによる改善を保証し、最終数値は母材に応じてご相談します。

用途

半導体設備

UHP気液流路、マスフローコントローラー、圧力・流量センサー接続配管

分析機器

クロマトグラフィー、質量分析計などの微少流量ライン

医療・検査機器

生体検査・免疫検査装置などの微少流路部品

よくあるご質問

図面で Ra 0.1µm 以下が指定されています。対応できますか。

極細内径(φ0.2mm級)では、化学研磨で Ra 0.1µm を下回ることは困難です。内径の大きい部品であれば、母材や前処理条件により対応できる場合があります。

あわせて、Ra値のみでの方式選定はお勧めしていません。Raは表面の「形状」を平均化した指標であり、同じRa値でも、表面の化学的状態(清浄度・耐食性)は加工方式により大きく異なります。詳しくは技術記事をご覧ください。

磁気研磨(機械研磨)と比べて、どちらが適していますか。

Raの絶対値のみが要求される用途では、磁気研磨のほうが適する場合があります。当社の化学研磨が有効なのは、耐食性・清浄度が問われる用途、および砥粒や電極が物理的に届かない形状(極細内径・ベローズ等)です。

Cr/Fe比は、どの母材でも向上しますか。

向上はしますが、到達値は母材品質に依存し、母材が持つ上限を超えることはできません。半導体グレードの高純度材と一般材では、到達しうる数値に差が生じます。詳しくは「品質数値と母材について」をご覧ください。

研磨後の内径は、指定できますか。

できます。化学研磨では内面がわずかに溶解するため、当社では仕上がり内径から溶解量を逆算し、素管の内径を選定して対応します。仕上がり内径の精度は ±0.01mm程度が目安です(素管の寸法公差にも依存します)。より厳しい公差が必要な場合は、個別にご相談ください。

検査成績書は添付されますか。

表面化学品質(Cr/Fe比・不動態皮膜)については、自社測定値ではなく、SEMI規格に準拠した第三者機関(米国 RJ Lee Group 等)による測定データを採用する方針のため、標準では検査成績書を添付しておりません。ご要望に応じて、第三者機関への測定手配を承ります。

最小ロット・納期を教えてください。

仕様・数量に応じてご相談ください。お問い合わせの際に内径・長さ・数量をお知らせいただければ、目安をご回答します。

ステンレス以外の材質にも対応できますか。

チタン・銅材にも対応可能な場合があります。主力はステンレス(SUS316L)です。図面をお送りいただければ、加工可否をご回答します。

サンプル・仕様のご相談

実物サンプルのご依頼、内径・長さ・数量のご相談を承ります。加工可否のご判断も、お気軽にお問い合わせください。